放言録

放言・妄言・狂言

裁判傍聴記(東京地裁:30.12.21)

 国税庁非常勤職員採用の面接終了後に暇だったのでとりあえず霞ヶ関に行ってみたが、そこは現在一学生の半分無職。セキュリティが厳重になった各庁舎に学生証で入るには至難の業だが、そういえばここらへんに裁判所合同庁舎があったな、と思って行ってみたところ簡単な手荷物検査だけで入ることができた。というわけで入り口すぐの公判検索機で遅めの14時からでも見られる裁判の情報を検索したところ、初公判の覚せい剤取締法違反事件があるというので1時間弱ほど傍聴してきた。なお筆記具がなくメモが取れなかったため内容に誤りがある可能性に留意されたい。

 

被告人:40代女性

罰条:覚せい剤取締法 第41条の2第1項、第41条の3第1項1号、19条

 

 平成30年10月に覚せい剤の影響でふらつきながら自転車に乗っていたところを職務質問、所持品検査され、覚醒剤を所持していたことがわかり、逮捕されたとのこと。被告人の発言によれば薬物を使用し始めたのは平成7年、高校3年生のときで、友人に誘われて始め、覚せい剤に手を出したのが、20歳のとき。その後海外に渡り薬物に接しない生活が続くも、帰国後の32,3歳でまた覚せい剤を使い始めた。覚せい剤を譲り受けていた男性と結婚し、子供ができたためにしばらく覚せい剤を使用しなくなるが、またも再開。その後29年に不動産関連の仕事を営む身元引受人(弁護側情状証人)と交際、同棲するに至るが、30年8月に現在の夫との関係を整理するよう要求され、同棲を解消。協議離婚が9月に成立した矢先の逮捕となったよう。

 起訴状朗読と罪状認否の後に先述の元交際相手が弁護側情状証人として証言。被告人との交際の経過は先述のとおりで、被告人の覚せい剤使用の事実については知らなかったと主張。保釈後には被告人を同居させた上、個人事業主として自身が営む会社からハウスクリーニング業務を委託し、被告人の月収は月30万~40万となる見込みと証言した。

 その後は被告人質問。予想以上に弁護人が被告人の行動に対して厳しい態度を取っていたことが印象的だった。前科前歴はないようなので、反省の態度を強調させるためだろうか。検察官側からも質問があるが、なぜ覚せい剤を使ってしまったのか、覚せい剤関係者との関係を本当に断てているのかなどの簡単なものに終始する。

 そして懲役1年6月の求刑、弁護人による執行猶予の要求後に結審。双方の日程調整の上、来月上旬に判決言い渡しの期日が設定された。長期間にわたって覚せい剤を使用してきたとはいえ、初犯で身元引受人のもとで安定した収入を望める状況に鑑みると、おそらく執行猶予がつくのではないだろうか。

 ベタな感想だが、薬物犯ということでどんな人間が出てくるかと思えば、どこにでもいそうな雰囲気の女性であったことは意外だった。ただし、罪状認否や被告人質問の際には枯れたような声を発し、長期間の覚せい剤使用の影響を伺わせた。