放言録

放言・妄言・狂言

自民県政クラブ-この先生きのこれるか-

 自民県政クラブは、あっせん収賄罪で逮捕、起訴されていた衆議院議員中村喜四郎が平成12年の衆議院議員総選挙で立候補した際、茨城県連が永岡洋治(中村失職後に補欠選挙で当選)を党本部の意思とは離れて推薦し、県連に反して中村の支援に回り、除名された茨城県議によって構成されている。

 そして本年は、来年の統一地方選の前哨戦ともいえる茨城県議会選挙が12月に控えており、県政クラブのメンバーにとっては昨年の茨城県知事選挙で橋本昌を破った自民党との関係性を見直す時期に来ている。関係のひずみはその後の総選挙で早速現れたらしく、5人中4人が中村の茨城7区内に選挙区を有する県政クラブの議員たちが中村陣営から応援を拒否されるという事態が起こった*1

 中村は今年の常会直前に旧民進党系の保守派議員が中心の院内会派無所属の会」入会を届け出ており、6月の政治の師・田中角栄のお膝元での新潟県知事選挙では野党候補を支援、演説のため現地入りまでし、衝撃を与えた。今月発売の『文藝春秋』8月号に掲載されたインタビューでは、「今後の岡田さん(筆者注:岡田克也)の動きによっては、私が特定の政党に籍を置くことも起こり得ると思います」とまで述べ*2、明確に野党陣営への傾斜を強めている。

 しかし、中村が自民党ないしはそれに近い保守系政党に属するのならまだしも、野党陣営に籍を置くのならば、これまで自民党が推薦する永岡桂子(洋治の未亡人)ではなく中村を支援してきた公明党も、態度を改めざるを得まい。高度に組織化された後援会「喜友会」と動員力の高い創価学会員の存在によってこれまで勝利を収めてきた中村にとっては、大きな判断を迫られるといえよう(もっとも、政党から出馬するのならば、比例復活が期待でき、選挙事務所、政見放送等でのメリットがあるが)。

 さて、話を県政クラブに戻すと、昨年総選挙の時点で中村陣営との関係が悪化したメンバーたちは、自民党への復党を狙うに至っている。県連幹事長の田山東湖も「手を組むのがプラスになるなら、敵対関係にない選挙区はどうなるか流動的」と述べているが、これは、彼らが除名された際に県連会長を務めていた「県政のドン」山口武平がすでに引退しているということも大きい。

 以下、県政クラブ所属議員の略歴について備忘録を兼ねて書いておく(爾後更新予定)。

常総市選挙区

飯田智男 2期

日大卒。中村の公設秘書を経て茨城県議。

 

結城市選挙区

臼井平八郎 6期

結城一高卒。結城市議会議員(副議長)を経て茨城県議。

 

古河市選挙区

江田隆記 7期

日本社会事業大学卒。福祉畑を歩み、現県政クラブ代表。広報発信に力を入れようとしたのか、公式サイトとYouTubeチャンネルが存在するが、いずれも開設した平成26年で更新が止まっている。惜しい。

 

猿島郡選挙区

半村登 6期

境高卒。茨城県経済連(JA全農いばらきの前身)職員を経て茨城県議。

 

取手市選挙区

川口政弥 2期

県政クラブに所属していた元県議会議長の故・川口三郎の息子。西武百貨店に入社後、企業経営を経て茨城県議になり、唯一の茨城7区外選出。ウェブサイトとブログが存在し、今現在も更新されているよう。

*1:茨城新聞「自民県連が現職39人公認 茨城県議選、自民県政クと連携模索」平成30年6月19日。

*2:中村喜四郎、常井健一「角栄最後の愛弟子 大いに吼える」『文藝春秋』第96巻8号、平成30年7月。